|
(1)心身の緊張をとく自律訓練法・リラクゼーション
ストレス病の患者さんは心身の緊張が強く、それが体の不調を招いていることがよくあります。
そこで、治療にも、心身をリラックスさせる練習がよく取り入れられます。
(2)リラックス法を覚えるとストレスに動じにくくなる
ストレス病の患者さんは、心身ともに緊張状態にあります。
そこで周囲は「もっとリラックスして」と励ましますが、
それがうまくできていれば最初から病気にもなっていません。
頭ではわかっていても実践できないから悩んでいるんです。
リラックス法には「自律訓練法」と「リラクセーション法」がよく使われます。
こうした方法を覚えると、心身の緊張をほぐし、緊張による身体症状が緩和するだけでなく、
ストレスにも動じにくくなるといわれています。
自律訓練法は、一種の自己暗示をかけて、
心身を緊張状態から弛緩状態へ変換させる方法です。
基本となるのが「標準練習」と呼ばれるものです。
標準練習は、6段階から成り立っており、
第1段階から順にマスターしてリラックスを図ります。
具体的なやり方としては、まず手足を伸ばして横たわるか、
椅子に楽に腰掛けて、目を閉じて気持ちを落ち着かせます。
そして
①両手両足が重たい
②両手両足が温かい
③心臓が規則正しく打っている
④楽に呼吸をしている
⑤おなかが温かい
⑥額が気持ちよく涼しい
と段階的に自己暗示をかけていくのです。
すると、全身の筋肉の緊張がほぐれて、血液循環がスムーズになり、
脳の興奮状態も鎮まってきます。
つまり、心身ともにリラックスした状態になるのです。
この標準練習を1日に2~4回(たとえば起床時、昼、夕方、就寝前)ずつ根気よく行います。
これがしっかりと身につくと、
心身を緊張状態からリラックス状態へスムーズに切り替えることができるようになり、
体の生理状態を一定に保つ自律神経の働きも整えることができます。
「ブリーフ・リラクセーション」、「プログレッシブ・リラクセーション」が知られています。
いずれも筋肉を弛緩させて、心身をリラックスさせると同時に、
リラックス状態がどのようなものかを、
知識としてではなく、体で会得するというものです。
(1)ブリーフ・リラクセーション
軽く目を閉じて、両腕・両足を完全に投げ出します。
呼吸は鼻から自然に吸って、自然に吐きます。
吐き終わったら数秒間、呼吸静止状態をおきます。
息を吐きながら、「気持ちがとっても落ち着いている」、「とてもリラックスしている」
と交互に唱えるか、
息を吐き終わるたびに「ひとーつ」と心の中で繰り返します。
四肢の重みが感じられるのがよく、
充分にリラックスすると手足の先がふくれる感じが現れます。
1回の所要時間は10~15分程度です。
(2)プログレッシブ・リラクセーション
手
①体を楽にして、右手(左利きの人は左手)のこぶしを固く握り締めます。
こぶし、手、前腕に緊張を感じます(約10秒)。
②一気にリラックスします。
指を緩め、緊張との違いを味わいます(約20秒)。
③もう一度①②を繰り返します。
④次に左手で、同様に緊張と弛緩を繰り返します。
⑤今度は両手でこぶしをギュッと握り、前腕を緊張させて、その感覚を味わいます(約10秒)。
⑥一気にリラックスします。
指を伸ばし、リラクセーションを感じます。
手や腕をもっとリラックスし続けます(約20秒)。
腕
①ひじを曲げて二の腕に力を入れます。
ひじを強く引き締めてその緊張を感じます(約10秒)。
②一気にリラックスします。
腕を元に戻し、力を抜きます(約20秒)。
③もう一度①②を繰り返します。
④次に腕を力いっぱい伸ばします。
二の腕の筋肉に力をこめ、緊張を感じるようにします(約10秒)。
⑤一気にリラックスします。
腕を楽な位置に戻して弛緩し続けます(約20秒)。
⑥もう一度④の緊張と⑤の弛緩を繰り返します。
腕の完全なリラクセーションに注意し、さらに深いリラクセーションに入ります。
リラクセーションを習得するには、受身の態度に終始し、
リラクセーションが現れるように努力したりせずに、
心身が自然にリラックスしてくるのを待つのがコツです。
他に心療内科で用いられるリラックス療養には以下のようなものもあります。
・自律訓練法
・自己統制法
・リラックス反応
・バイオフィードバック法
・音楽療法
・生体エネルギー療法
・温泉療法
・アロマテラピー
・ヨーガ
・座禅
・ダンス療法
・運動療法
・太極拳
・気功
・丹田呼吸法
など
|
|