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周囲の人の対応の仕方

① 周囲の人が見つける心のSOSのサイン

心の病気にかかっていても、本人がそれに気づいていないことがあります。
その場合は、周囲の人がSOSのサインを見過ごさないことが大切です。

以前と違う様子を見過ごさない

患者さんによっては、病気に気づいていなかったり、
自分の殻に閉じこもってしまって、
なかなか人に援助を求めようとしない場合があります。
こうした場合は、家族をはじめとする周囲の人の役割が大変重要になってきます。
悩みや苦痛を口に出さない人でも、
行動や態度でSOSを発している場合がけっこうあるからです。
とりあえず、以前と違う様子が見られたら、
見過ごしてはいけません。
注意深く様子を見守ってください。


② チェックリスト

本人をよく知っている第三者(友人など)3人程度で、
当てはまるものをチェックしてください

   ①顔に生気がない
   ②疲れているような感じがする
   ③会議や仕事中の居眠りが目立つ
   ④風邪気味のことが多い
   ⑤動作が活発でなくなっている
   ⑥話しかけてもすぐ返事が返ってこない
   ⑦積極的な意見が少ない
   ⑧仕事をするのがおっくうそうである
   ⑨うつろな目をしていることがある
   ⑩このごろカッとなることが多い
   ⑪他人との付き合いに積極的でない
   ⑫いらいらしがちである
   ⑬よく貧乏ゆすりをしている
   ⑭このごろ口数が少なくなっている
   ⑮仕事の能率が落ちている
   ⑯笑顔が少なくなっている
   ⑰額にたてジワを寄せていることが多い
   ⑱身だしなみに明るさがなくなった
   ⑲元気がない。自信がない
   ⑳このごろ汗をかきやすくなっている

   1項目を1点として採点し、平均値によって判断します。


ストレスが強いようなら休養や受信を勧める

どうもストレスが強いようだと思ったら、
少し休養したほうがいいと説得したり、
専門医を受信することを勧めてください。
早めに対処することが重要です。


③ 家族が心の病気では?と思ったら

家族の誰かに心の病気の兆候が見られたら、専門医の受診を勧めてください。
心の病気の発見、治療には、家族の理解と援助がとても重要になります。


④ 専門医への受診の勧め方

①かかりつけの医師に相談してみる
   精神科や心療内科への受診に抵抗があるようなら、
   まず内科などのかかりつけの医師に診てもらうことを勧めてみます。
   その結果、体の病気ではないことがわかったら、
   心の病気の専門医の受診を説得してみます。

②無理強いはしないで根気よく説得する
   家族が勧めても、本人が嫌がっているようなら、無理強いは禁物です。
   自殺などの事故が起きないように注意深く見守りながら、
   折を見て根気よく説得します。

③心の病気への本人の理解を促す
   本人が症状を自覚していないようなら、
   わかりやすい解説書などをさりげなく見せるなどして、
   病気に対する理解を図ります。

④本人が抵抗感をもちにくい表現を工夫して勧めてみる
   本人が病気に気づき始めたが、踏ん切りがつかないようなときは、
   「心が疲れているのではないか?」など、
   受け入れやすい言い方で受診を進めてみるとよいでしょう。


⑤ 本人がどうしても病院に行きたがらない場合

精神科、もしくは心療内科に連絡して、その旨を伝えます。
家族だけでもいいので早めに相談に行くことです。
どのように対処すべきか?その方法を教えてもらえるはずです。


⑥ 公的機関で相談にのってくれるところ

「精神保健福祉センター」という専門機関が、各都道府県ごとに設置されています。
精神衛生に関するすべての相談を受け付けており、
さまざまな悩みに対応できる専門家がそろっています。
市区町村の役所に問い合わせれば、連絡先を教えてくれるはずです。

⑦ 病人に対してなにができるか?

心が弱っている病人にとって、いちばんの特効薬は周囲の人の温かい支えです。
心の病気に苦しむ人のつらさを理解し、回復への道のりを根気よく支えてあげてください。


(1)本人のつらさを理解し充分に休息させる

   心の病気はつらく苦しいものですが、
   生活をともにしている家族や周囲の人もひじょうにつらい立場にあるといえます。
   何とかしてあげたいと思う気持ちと、
   今後の生活に対する不安との板ばさみで、
   ときには患者さんに腹立たしさを感じることもあるかもしれません。
   しかし、本人にとって、いちばんの支えは家族や仲間なのです。
   周囲の人がつらさを理解し、充分に休息させて、
   適切な治療を受けさせることが、
   回復へのいちばんの近道だということを、
   まず理解して欲しいと思います。


(2)うつ病の場合には叱咤激励は禁物

   患者さんの支えとして、いくつか注意して欲しいことがあります。
   まず第一に、
   うつ病の人に対しては「がんばって」とか「そんなことでどうするの」
   などといった、叱咤激励は絶対に禁物です。
   本人はがんばりたくてもがんばれずに悩んでいるのです。
   叱咤激励はますます本人を追い詰めることになるのです。
   また、気晴らしになればと旅行に連れて行ったり、
   お酒を飲みに連れ出すのも逆効果です。
   健康な人にとっては心浮き立つ娯楽も、
   心が弱っている人にとっては負担になるだけだからです。
   このようにまわりはよかれと思ってやっていることが、
   本人にとっては苦痛になることも多いのです。
   「今は病気なのだ」ということを理解し、
   気を引き立たせるよりも、
   優しく包み込むような姿勢で接してあげましょう。


(3)あせらずに経過を見守り治療をサポートする

   心の病気の多くは、
   一進一退を繰り返しながら徐々に回復への道のりをたどります。
   周りから見て歯がゆく思うこともあるかもしれませんが、
   周囲が回復をあせると、
   本人も気がねから無理をしてしまい、
   かえって回復が遅れます。
   周囲の人はあせらずに経過を見守り、
   本人がきちんと治療に取り組むよう、サポートしていくことが大切です。


⑧ 自殺を予防するには

心の病気に陥っている人の中には、いきなり自殺に走る危険性がある人もいます。
これを防止するには、周囲の人が本人の様子に絶えず注意を払うことが大切です。

(1)自殺を図る人の多くは予告サインを発している

   うつ病や神経症は、精神的苦痛から絶望へと陥り、
   自殺へと走る危険性があります。
   特にうつ病の場合、
   「死にたくなる」のは症状のひとつともいえます。
   これを防ぐには、医師はもちろんですが、
   周囲の人の協力も大変重要になってきます。
   自殺を図る人は、家族や親しい人に
   何気なく自殺を予告するサインを発していることが多いからです。
   注意深く見守り、このサインをつかむことで自殺を防げることも少なくないのです。

(2)こんな言動は危険サイン

   ・こんな言葉を口にする
       死んでしまいたい
       私なんか、いなくなったほうがいい
       生きていたって、つらいばかりだ
       生きていく希望が持てない
       どんな方法で死ぬのがいちばん楽かな
   ・部屋に引きこもる
   ・食べなくなる
   ・新聞やテレビにも興味を示さない
   ・家族とさえ口を利くのがおっくうそう
   ・手紙や写真を処分したり、大切なものを人にあげたりする
   ・ひもを捜したり、薬や毒物をため込んだりしている。

(3)「死にたい」と打ち明けられたら

   本当に自殺を考えている人は、
   「死にたい」などと口に出さないものだと言われますが、
   これはとんでもない間違いです。
   もちろん何も言わず死を選ぶ人もいますが、
   事前に口に出す人も多いのです。
   ですから、大丈夫とタカをくくってはいけません。
   「今は心が弱ってるから、そんなふうに思えるんだよ。早く回復させよう。」
   と声をかけ、すぐに専門医に連れて行くようにしてください。








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